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レジン3Dプリンター出力品を仕上げる:洗浄機・二次硬化機選びのポイント、使い方、失敗談

Tags: 3Dプリンター, レジン, 洗浄機, 二次硬化機, 工具, 趣味

レジン3Dプリンター出力後の必須工程:洗浄と二次硬化を支えるツール

レジン3Dプリンターを用いた造形は、フィラメント式とは異なる独特の魅力と精密さを持ち、多くの趣味人を惹きつけています。しかし、レジンでの造形には、出力そのものだけでなく、その後の処理が非常に重要です。特に、「洗浄」と「二次硬化」は、造形品の最終的な品質と強度を決定づける、絶対に欠かせない工程です。

出力直後の造形品には、未硬化の液体レジンが付着しています。これを適切に除去し、さらに紫外線などを照射してレジンを完全に硬化させることで、本来の形状と強度が得られます。この一連の作業を効率的かつ確実に行うために開発されたのが、専用の洗浄機と二次硬化機です。

この記事では、レジン3Dプリンターでの造形を始められた方や、これから始めたいと考えている方々が、この必須工程をスムーズに進め、満足のいく仕上がりを得られるよう、レジン洗浄機と二次硬化機の選び方、基本的な使い方、そして初心者の方が陥りやすい失敗とその対策について、詳しく解説してまいります。高価なレジンを無駄にせず、大切な造形品を最高の状態で完成させるための「偏愛道具」選びにお役立てください。

なぜ洗浄と二次硬化が必要なのか

レジン3Dプリンターで使用される光硬化性レジンは、特定の波長の紫外線(UV)を照射することで液体から固体へと変化します。プリンター内部で積層される際、UV光が照射された部分は硬化しますが、表面やサポート材の隙間などには、まだ硬化していない液体のレジンが残存しています。

洗浄の重要性

この未硬化レジンは、そのままにしておくとベタつきの原因になるだけでなく、以下の問題を引き起こします。

これらの問題を解決するために、造形品を洗浄液(一般的にはイソプロピルアルコール:IPAなどが使用されます)に浸し、ブラシや攪拌によって未硬化レジンを溶かし落とす作業が必要になります。

二次硬化の重要性

洗浄後、造形品に残った洗浄液を乾燥させたら、次に二次硬化を行います。これは、造形品全体に均一に紫外線を照射し、洗浄で落ちきらなかったわずかな未硬化レジンを硬化させたり、積層時に完全に硬化しきれなかった内部を最終的に固めたりする工程です。二次硬化を行うことで、造形品は設計通りの強度と耐久性を持ち、ベタつきのない、触っても安全な状態になります。

この洗浄と二次硬化の工程は、レジン3Dプリンターを用いたものづくりの品質を大きく左右するため、適切なツール選びと正しい方法で行うことが非常に大切です。

レジン洗浄機:種類と選び方、使い方

レジン洗浄機は、未硬化レジンを効率的に除去するためのツールです。主に以下の種類があります。

1. 手動式洗浄ステーション

洗浄槽と、造形品を固定・回転させるハンガーなどがセットになったシンプルなタイプです。洗浄液を満たした槽に造形品を吊るしたり沈めたりし、ブラシなどで手洗いします。

2. 自動攪拌式洗浄機

専用の容器に洗浄液と造形品をセットし、モーターで攪拌することで自動的に洗浄を行うタイプです。プリンターから取り外したプラットフォームごとセットできるモデルもあります。

3. 超音波洗浄機

超音波の振動によって洗浄液中にキャビテーション(気泡の発生と消滅)を発生させ、造形品の細部まで強力に洗浄するタイプです。レジン専用品でない汎用の超音波洗浄機が用いられることもあります。

洗浄機選びのポイント(初心者向け)

初めてレジン3Dプリンターを使う方には、まずは自動攪拌式の洗浄機がおすすめです。手動式より楽で安全性が高く、超音波式より導入コストを抑えやすいバランスの取れた選択肢と言えます。使用頻度や造形サイズ、予算に合わせて適切な容量と機能のモデルを選びましょう。複数の機能を一体化した「洗浄硬化一体型マシン」も人気があります。

洗浄における失敗談と注意点

二次硬化機:種類と選び方、使い方

二次硬化機は、洗浄・乾燥後の造形品に紫外線を均一に照射し、完全に硬化させるためのツールです。

1. UV硬化ボックス

紫外線ランプ(LEDや蛍光灯)を内蔵したボックスです。造形品をボックス内に入れて光を照射します。ターンテーブルが付いているモデルが多く、造形品を回転させることで全方向から均一に照射できます。

2. UV硬化一体型マシン

洗浄機能と二次硬化機能が一つになった複合機です。同じ容器(または付属のバケット)で洗浄を行い、その後容器をそのまま、あるいは造形品を別のステージに移してUV照射を行うタイプがあります。

二次硬化における失敗談と注意点

初心者のためのツール選びとコストパフォーマンス

レジン3Dプリンターを始めたばかりの初心者の方にとって、洗浄機と二次硬化機は必須の投資となります。「手動式洗浄ステーション+UV硬化ボックス」の組み合わせは、最も安価に始められますが、手間がかかり安全性にも配慮が必要です。

コストパフォーマンスと手間のバランスを考えると、まずは自動攪拌式洗浄機とUV硬化ボックスを個別に揃えるか、洗浄硬化一体型マシンのいずれかから始めるのが現実的でしょう。

いずれのタイプを選ぶにしても、必ず対応する造形サイズを確認することが重要です。せっかく購入しても、よく出力するサイズの造形品が入らないのでは意味がありません。また、安全に関する機能(UV照射中の蓋ロックなど)も確認しておくと安心です。

まとめ:レジン3Dプリンター趣味を深めるための「道具」

レジン3Dプリンターは、精密で滑らかな造形を得られる魅力的なツールですが、その力を最大限に引き出すには、洗浄と二次硬化という後処理が不可欠です。ここでご紹介した洗浄機と二次硬化機は、この後処理工程を効率化し、安全性を高め、造形品の最終的な品質を向上させるための重要な「偏愛道具」です。

特に、レジン3Dプリンターを始めたばかりの初心者の方にとっては、どのようなツールが必要なのか、どう選べば良いのか迷うことも多いでしょう。この記事が、その疑問を解消し、ご自身の環境や予算に合った最適なツールを見つけるための一助となれば幸いです。

最適な洗浄機と二次硬化機を選び、正しい方法で後処理を行うことで、レジン3Dプリンターでのものづくりは格段に快適になり、趣味の世界はさらに深く、豊かになるはずです。常に安全に配慮しながら、最高の造形品を完成させてください。